CCII 京都大学大学院医学研究科附属 がん免疫総合研究センター

高次統御システム間制御部門
がんをはじめとする免疫疾患の新たな治療法の開発を目指し、最先端のマルチオミックスの技術を用いて免疫系がどのように作動し、他の高次システム系とどのように連携して生体内の恒常性が維持されているのかを明らかにすることが我々の使命と考えています。

ハイライト

研究分野

免疫活性化:

免疫制御:

免疫の統合:

メンバー

教員

目標

ホメオスタシス(生体恒常性)とは、様々な体外環境の変化に適応し、生体組織の最適なパフォーマンスと健康の維持を目的とする、我々の体が持つ重要な機能を意味します。免疫系は、細胞外からのシグナル、および細胞内のさまざまな代謝経路が連携することで最適な免疫応答を誘導し、ホメオスタシスに寄与しています。つまりサイトカイン、ホルモン、神経伝達物質、さらには低分子代謝物など多種多様な因子が複雑かつ正確な連携をとることで我々の免疫応答が誘導され、さらには生命活動が維持されているのです。

免疫が正常に作動するためにはサイトカインとそのレセプターが正確なフィードフォワードおよびフィードバック制御を行う必要であり、腸内細菌叢との共存、病原体の駆逐、さらにはがん細胞の排除などさまざまな場面においてこのような制御機構が発動しています。これに加えて、外部環境の変化に伴って免疫細胞から産生される代謝物、ホルモン、および神経伝達物質もまた免疫系がもたらすホメオスタシスには必須であることが明らかになってきています。

緻密に制御された免疫機能は免疫系にのみならず、腸管および腸内細菌、心血管系、さらには中枢神経系との相互作用にも重要な役割を果たしています。我々は免疫系が引き起こすさまざまな炎症において、アミノ酸のような生体の基本構造をなす分子が全身性に不足し、炎症局所から遠く離れた脳における神経伝達物質の枯渇を引き起こすことで情動変化および行動異常の原因であることを見出してきました。

本研究室では、低分子代謝物や神経伝達物質およびその下流のシグナルを免疫系がどのように受容し、ホメオスタシスの維持にためにそれらがどのように免疫応答を誘導しているのかを高解像度で明らかにすることを目指しています。さらに、免疫系を中心としてさまざまな高次システムがどのように相互作用しているかの理解を深めることで、これまでにはなかった新しい免疫疾患の治療法の確立が可能になると考えています。

主な論文

Zhang, B., Vogelzang, A., Miyajima, M., Sugiura, Y., Wu, Y., Chamoto, K., Nakano, R., Hatae, R., Menzies, R.J., Sonomura, K., Hojo, N., Ogawa, T., Kobayashi, W., Tsutsui, Y., Yamamoto, S., Maruya, M., Narushima, S., Suzuki, K., Sugiya, H., Murakami, K., Hashimoto, M., Ueno, H., Kobayashi, T., Ito, K., Hirano, T., Shiroguchi, K., Matsuda, F., Suematsu, M., Honjo, T., Fagarasan, S. Bcell-derived GABA elicits IL-10+ macrophages to limit anti-tumour immunity. Nature 599, 471-476 (2021). https://doi.org/10.1038/s41586-021-04082-1.

Miyajima, M., Zhang, B., Sugiura, Y., Sonomura, K., Guerrini, M.M., Tsutsui, Y., Maruya, M., Vogelzang, A., Chamoto, K., Honda, K., Hikida, T., Qin, H., Sanuki, R., Suzuki, K., Furukawa, T., Ishihama, Y., Matsuda, F., Suematsu, M., Honjo, T., Fagarasan S. Metabolic shift induced by systemic activation of T cells in PD-1-deficient mice perturbs brain monoamines and emotional behavior. Nat Immunol 18, 1342–1352 (2017). https://doi.org/10.1038/ni.3867

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