「高度でありながら汎用性のある免疫系の介入により、2050年までにはほとんど全てのがんを制御できる日が来る。」
―この人類共通の夢に向かって、私たちCCIIは研究努力を続けていきます。
がん免疫総合研究センターの使命
がん免疫療法は、100年以上前より試行錯誤が重ねられて来ました。長い間、失敗の連続でしたが、今では、様々ながん種において、最初に選択されるべき治療法となっています。その治療標的の中心となっているPD-1は、日本で本庶佑博士によって発見され、20年以上に及ぶ地道な基礎研究、臨床試験を経て、新しいがん免疫療法に応用されました。さらに、この分子を多くの研究者が徹底的に研究したおかげで、がん細胞に対する免疫反応の理解が格段に深まりました。一方で、このがんに対する免疫反応は、非常に個人差が激しく、未だ全容解明には至っておりません。そのことが原因で、現状のがん免疫療法では効果が不十分な患者さんが、まだ多数存在します。
がん免疫療法では、生まれつきの遺伝的体質、がん細胞の性質、さらには食事・喫煙などの生活習慣までもが複雑に影響し合い、治療効果の個人差を生み出しています。これらの多様な因子と免疫システムとの関係を、丁寧に解明していけば、患者さん個々人に合わせた最適な治療法を開発していくことが可能です。そのためには、従来のがん生物学や免疫学の枠組みの研究だけでは、不十分だと考えます。CCIIでは、この枠組みを基軸として、様々な学問分野を融合した新しいがん免疫学で、がん免疫研究の世界拠点となることを目指します。さらに、CCIIの目標は、新しい発見を患者さんに届けることでもあります。新しい治療法への転換を加速するため、国内外の研究機関や企業とのコラボレーションを行う拠点となることを目指します。CCIIのユニークなグローバル研究環境は、若い人材が独創的な研究を行い、がん免疫学とがん治療の永続的な発展に貢献することを可能にします。
研究資金
CCIIの研究資金の多くは、公的研究費から拠出されています。また、活動は、企業や個人からの寄附金や共同研究費等外部資金、PD-1がん治療薬の特許に基づく研究基金により、長期的に支えられています。
CCIIの新拠点
現在、CCIIの施設は京都大学のキャンパス内にあるさまざまな建物に分散しています。2024年には、日本を代表する建築家である安藤忠雄氏に多大なるご協力をいただきました新研究棟が京都大学医学部附属病院に隣接した形で建設され、その機能が集約される予定です。