研究内容
免疫代謝を利用したバイオマーカーによる、免疫システムの状態の正確な評価
免疫システムは多くの栄養物質を消費した活性化機構により、感染症やがんに迅速に対応することができます。この過程において、免疫細胞はシステミックな代謝リモデリングを引き起こし、血液中の代謝物質の検出可能なフットプリントとして表出します。したがって、血液などの代謝物質をモニターすることは、免疫システムの状態を正確に評価する強力な手段となり、感染症の重症度、自己免疫病の発症可能性、がん免疫療法の効果を予測できる可能性があります。しかし、免疫システムの状態、特に特定の免疫細胞サブセットの活性化と、結果として生じる血清代謝物質プロファイルとの相関はまだ明らかではありません。
CCIIでは、先進的な質量分析を活用して、特定の免疫細胞の活性化に関連する代謝物質マーカーを網羅的に同定することを目指します。主な目標として、以下のゴールが設定されています。
- がん免疫療法のコンパニオンマーカーの開発
- 自己免疫病の発症に対する予測マーカーの開発
- 感染症の重症度に対する予測マーカーの開発
さらに基礎研究として、さまざまな疾患モデルや免疫不全マウスを利用して、特定の免疫細胞の活性化と機能性に必要な代謝経路を特定することを目指しています。これらの代謝経路の特定を通じて、がん免疫に対応できる望ましい免疫反応に必要な代謝物質を補充することで、免疫細胞機能を強化する介入療法の開発に挑戦しています。逆に、特定の免疫細胞を阻害する代謝経路を特定することで、過敏性反応、自己免疫病、そして重症感染症でしばしば観察されるサイトカインストームを抑制するための代謝介入の可能性ある標的を明らかにすることも可能であると考えます。
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